December 10, 2025

構造×意匠連携で手戻りを防ぐ。
意思決定を加速するAI活用

ArchiXを利用することで建築の未来がどう変わるのかをユーザーと語る本企画。ArcCells(アークセルズ)株式会社一級建築士事務所の西岡博之さんは、「設計イメージの可視化」が重要と語ってくださいました。

会社名 ArcCells(アークセルズ)株式会社一級建築士事務所
URL https://www.arccells-corp.com/
担当者名 西岡 様

ArchiX 導入の背景と効果

導入前の課題

  • クライアントとの共有スピード

    2D図面では空間認識の共有が難しく、意思決定に時間がかかっていた。

  • 既存生成AIの限界

    一般的なAIは建築の構造が無視されるため、実務利用が難しかった。

導入後の効果

  • 意思決定の迅速化

    イメージの早期共有により、手戻りのないフロントローディングを実現。

  • デザインの壁打ち相手に

    構造設計者とデザイナー間のアイデア出しやコミュニケーションが活性化。

構造設計の視点から「デザイン」と「エンジニアリング」を繋ぐ

――まず、西岡様のこれまでの経歴と現在の事業内容についてお聞かせください。

西岡様: 私は元々、竹中工務店に約25年間在籍していました。専門は構造設計や建築生産設計といったエンジニアリングの分野です。50歳で退職して数年後にArcCells株式会社を立ち上げ、現在は建築設計やコンストラクション・マネジメント(CM)などを行っています。

最近では、2025年大阪・関西万博の外国パビリオンの実施設計やCM業務にも携わりました。私のバックグラウンドは建築構造ですが、プロジェクトごとに最適なチーム、つまりプロジェクトの細胞となる「Cells」を組んでクライアントの課題解決にあたっています。

一般的な生成AIでは「建築の嘘」が生まれてしまう。求めていたのは実務に耐えうる制御性

――ArchiX導入以前、業務においてどのような課題を感じていらっしゃいましたか?

西岡様: 最大の課題は、クライアントとの「空間認識の共有」におけるスピード感です。普段からRevitなどのBIMツールを使用しています。そのため、我々は2次元の図面から3次元空間を脳内で構築できますが、一般のお客様にはそれが難しい。これまでは時間をかけてパースを作成していましたが、今の時代、初回のプレゼンから高いクオリティのイメージが求められます。

山田様(株式会社ヤジルシ建築設計事務所(ArcCellsのパートナー会社)代表): 業務効率化のためにChatGPTやMidjourneyなどの生成AIも試してきましたが、建築実務で使うには「融通が利かない」のが悩みでした。例えば、内観パースを作らせると、勝手に柱を消したり、構造的にあり得ない窓をつけたりしてしまう。これでは「きれいな絵」にはなっても「建築パース」としては使えません。

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今後の成長が期待できるサービスだと感じたから導入を決めた

――数あるサービスの中で、なぜArchiXを選ばれたのでしょうか?

西岡様: 展示会でArchiXを知りました。新しいサービスを中心にいくつかのブースで話を聞く中で、とりわけ可能性を感じるサービスだと思いました。

また、機能面に関して「もっとこうだったらいいのに」という要望をサービス側に伝えたあとに、次の週には改善されていたり、もう実装済みですよという感じで、サービスが改善されていくスピード感にも可能性を感じて導入を決めました。

デザインの「壁打ち相手」としてArchiXを活用。手戻りのない意思決定を実現

――実際に導入されて、どのような効果を感じていますか?

西岡様: クライアントへのプレゼンはもちろんですが、社内での「アイデアの壁打ち」に非常に役立っています。私は構造畑の人間ですが、デザイナーに対して「こんなイメージはどう?」とArchiXで作った画像を投げることで、言葉だけでは伝わらないニュアンスを瞬時に共有できます。

これにより、プロジェクト初期段階での合意形成が早くなり、いわゆる「フロントローディング」が実現できています。後工程になってからの「イメージと違う」という手戻りが圧倒的に減りましたね。

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今後はBIM連携や専門用語対応にも期待。ArchiXと共に建築業界をアップデートしたい

――最後に、今後の活用展望やArchiXへの期待をお聞かせください。

西岡様: 今後はBIM(Building Information Modeling)との連携がさらに強化されることに期待しています。BIMで設計したデータをアーキエックスで瞬時に可視化し、またその情報をBIMに戻すといった「相互通信」ができれば、設計プロセスは劇的に変わるでしょう。

また、「市松貼り」や「幅木」など建築業界における多くの専門用語をプロンプトとして理解しパースに反映させていく部分が成長していくといいなと思います。 AIは「使えない」と切り捨てるのではなく、使い倒して学習させていくことで、我々自身も進化できるツールだと思っています。

会社概要・代表プロフィール

ArcCells(アークセルズ)株式会社 一級建築士事務所

ArcCells株式会社様は、大阪を拠点に 建築設計・構造設計・設備設計・コンストラクションマネジメント(CM)を一貫して提供する設計事務所です。プロジェクトの規模や内容に応じて最適な専門チームを編成できる柔軟な体制を強みに、住宅から大規模施設まで幅広い建築を手がけられています。

所在地:大阪市北区曽根崎
設立:2017年
事業内容:建築・設備設計、監理、CM、BIM関連業務 ほか
HP:https://www.arccells-corp.com/

代表取締役 西岡 博之 様

竹中工務店にて構造設計・技術研究所・生産技術・海外プロジェクトなど幅広い経験を積まれた後、発注者側のPM/CM業務にも従事。2017年にArcCells株式会社を設立し`構造的視点とデザイン性を両立 した建築の実現に取り組まれています。
保有資格:ー級建築士、一級建築施工管理技士、認定コンストラクションマネジャー(CCMJ)ほか