ここ数年、画像生成AIの技術が飛躍的に進化し、デザインやコンセプトビジュアルの制作現場でも活用が進んでいます。
Stable DiffusionやMidjourneyなどのモデルを活用すれば、数秒〜数分で美しいビジュアルを生成でき、プロトタイピングのスピードが大きく向上しました。
しかし、「建築パース」のように構造やスケール、空間的整合性が求められる画像においては、画像生成AIの利用には依然として高いハードルがあります。特に建築設計の現場で求められる「精度」や「現実性」といった観点では、一般的な画像生成AIの出力にはいくつかの根本的な課題が残っています。
一般的な画像生成AIは、自然言語によるプロンプト入力によって画像を出力します。この「プロンプト」は極めて柔軟で自由度が高い一方で、建築のように「具体的な寸法」「構造」「配置関係」が重視される領域においては、曖昧さが致命的な弱点となります。
たとえば「南向きの大きな窓を持つ木造住宅のLDK空間」とプロンプトに入力しても、出力される画像には「実際の寸法感覚と合っていない家具配置」や「壁の枚数が一致しない」「光の入り方が不自然」などの問題が頻発します。
また、同じ条件で再度画像を生成しても出力内容が大きく変わるケースが多く、再現性や一貫性の担保が難しいという課題もあります。
こうした問題を回避するためには、非常に細かいプロンプトの設計が求められます。つまり、どのような単語を使うとどういったビジュアルになるのか、AIモデルごとの特性を理解し、それに最適な記述を行うスキルが必要です。
しかしこの「プロンプトエンジニアリング」は、建築の知識だけでなく、AIツール特有の知見や試行錯誤の経験が前提となるため、建築のプロフェッショナルにとっては高い学習コストを伴います。
結果として、建築パースの生成は「一部のAIに詳しい人だけができる作業」になってしまい、設計者が自ら素早く確認したいというニーズに応えるには不十分なのです。
こうした課題を踏まえ、アーキエックスでは「プロンプトレス(=プロンプト入力不要)」のアプローチを採用しています。一からプロンプトで指示するのではなく、スケッチや立面図等の参照画像をアップロードし、いくつかの詳細を選択肢に応じて指示するだけで、意図に沿った建築パースを自動で生成できる仕組みです。
プロンプトで細かな調整をする必要がないため、AIに詳しくない人でも正確で一貫性のあるパースを即座に生成でき、日常の設計検討やプレゼン資料作成をスムーズに進めることが可能になります。
画像生成AIの力を設計実務に活かすには、単なるツールの導入ではなく、「誰でも使える設計」を目指すことが重要です。アーキエックスは、その第一歩となるプロダクトとして、建築の未来に貢献していきます。